モンテッソーリとレッジョ・エミリアの違いとは?#2

 #2では、モンテッソーリとレッジョ・エミリア教育の違いについて触れてみたいと思います。両方とも同じイタリア発祥の教育方法ですが、具体的に双方の特徴と違いをみていきましょう。

主な類似点

【柔軟性】
モンテッソーリもレッジョ・エミリアも子どもたちに多くの自由を与えます。先生からのガイダンスによって子どもたちは自分のやることや活動を選ぶことが出来ます。また、クラス内を自由に移動したり、グループで作業したり、自分のペースで作業したりすることができます。

【個別カリキュラム】
モンテッソーリもレッジョ・エミリアも標準化されたカリキュラムを備えていません。むしろ先生のサポートを受けて子どもたちは、自分が興味のあることに意欲をもって活動することができます。

【子供の交流】
両方とも子供間での交流を持つことが推奨されています。クラス内では、子どもたち同士の共同作業やグループワークを促進するために設置されています。どちらも子ども同士が学びあう環境があります。
                                                   【先生の役割】
モンテッソーリもレッジョ・エミリアの先生も、普通の学校で行われるような全体的な授業を行いません。また、直接指導や暗記を通じて、子どもたちに知識を教え込むようなことも行いません。むしろ、先生の主な役割は子どもにとって有意義な遊びや活動を結び付けてあげる事です。

主な相違点

【教育学年】
レッジョ・エミリア境域では、主に未就学児から小学校低学年を対象としています。一方モンテッソーリ教育は未就学児だけではなく、小中学校でも使用できます。
                                                   【アート】
レッジョ・エミリア教育では、モンテッソーリ教育よりもアートに重きを置いています。レッジョでは様々なアート的メディアや表現形式の使用を推奨しています。一方門てそーり教育ではアートに重きを置く傾向がありません。アートのために特別な時間をとってプロジェクトを割り当てるなどの時間はほとんどないです。

【学問】
どちらのスタイルも未就学や小学校の学問に焦点を当てていますが、モンテッソーリではより学問に重きを置く傾向がみられます。特にレッジョと比べたとき、遊びや活動よりも学問に重きを置く傾向がみられます。

【プロジェクト】                                           長期間にわたる時間制限のないプロジェクトは、レッジョ・エミリア教育で最も重要とされている事の1つです。モンテッソーリの子どもたちはプロジェクトを行いますが、レッジョと比べるとそんなに頻繁には行われません。さらに、モンテッソーリのプロジェクトは自由度が低い傾向にあります。

【テクノロジー】
モンテッソーリ教育では、クラス内では現代のテクノロジーを使うことはほとんどありません。一方レッジョ・エミリア教育では、かなりの量を使用します。特にレッジョの先生は、カメラやビデオなど多くのテクノロジーを使用し、クラス内で行われていることを観察して、ドキュメンテーションとして文書化(可視化)します。

まとめ

このように、モンテッソーリとレッジョ・エミリアは似ているところもありますが、違うところもたくさんあることがわかりました。どちらの教育が優れているという観点で話しをすることはナンセンスですが、時代背景によって求められているものが変わっています。

昔の時代は子どもの数が多かったため、学校外でも子供同士が社会的スキルを学ぶ環境がありましたが、少子高齢化の現代社会では、学校外で子どもが社会的スキルを学べる場所が昔と比べると激減しています。

そういった時代背景を考えると、学校で社会的スキルを学ぶ必要も出てきているのではないかと考えています。個人のスキルを伸ばすことはもちろん大切ですが、協調性を養い、チームとして何かを成し遂げる事、これがこれからの時代にとって必要なスキルの1つであると確信しています。